広島大学で何が学べるか2026
13/68

教育の特色キャンパスライフ学部・大学院教員・入試・オープンキャンパス・説明会・アクセス広島大学について1 2は、言語だけでなく、現地での観察やコミュニケーションの能力が必要だと考えられます。また、知ろうとしている異文化と同じくらい、自分の文化を理解しておくことが重要です。そうしないと、異文化について表面的な理解しかできなくなってしまいます。 異文化は、海外のどこか遠いところにあるのではなく、実は身近なところにも存在しています。広島大学のある東広島市には、数多くの外国籍の人々が住んでおり、彼らの子どもたちが地元の小学校に通っています。また、技能実習生も住んでいます。日本での生活に必要なのは、日本語の能力だけでしょうか。多文化 私はこのような団体における財産の帰属・管理などに関する法制度に関心を持ち、韓国で研究を始めました。韓国の民法は日本民法の影響を大きく受けており、さらに日本民法はフランスやドイツなど西洋法の影響を受けて成立したものでした。そこから、現代の法制度は一国にとどまらず、歴史的な相互影響の中で発展してきたことを実感し、比較法的アプローチの重要性を強く感じて日本留学を決意しました。 その後、ドイツ・日本・韓国における民法上の団体と共同所有に関する規律について比較法的検討を行い、広島大学大学院社会科学研究科で博士号(法学)を取得し、2018年より本学に着任しました。 近年では、民法上の共同所有関係にある団体と取引する第三者をいかに保護するかという観点から、団体内部の財産関係を外部に適切に公示する制度のあり方について、解釈論・立法論の両面から比較法的検討を進めています。これらの研究成果は国内外の学術大会での発表や論文・著書を通じて発信しており、日本法の改正動向について、外国の大学からの招待講演や国際共同研究にも協力しながら、民事法制度の相互発展と国際的な学術交流にも積極的に取り組んでいます。共生を目指すためには、一方的に日本のルールを教育するだけでは解決できない問題が潜んでいます。教員など指導的立場の人は、現場でそれぞれのケースに対応することになりますが、あらかじめ基礎的な異文化理解のスキルを持っていれば、よりスムーズに、そして適切な対応をすることができると考えられます。 多文化・グローバル教育学プログラムでは、異文化理解のエキスパートを養成するだけでなく、さらに教育にも貢献できる人材を育成します。国内・海外での実習を積極的に行い、実践・体験を繰り返しながら異文化理解の方法を学びます。この学びを通じて、私たちそれぞれの文化についてもより深く考え、国際的な分野で活躍できる人材を育てたいと思います。法学部大学院人間社会科学研究科 准教授 世界各国の研究者との交流を通じて、社会の変化に応じた制度の見直しや、多言語間における解釈の差異を乗り越えることの難しさを実感する一方で、それこそがグローバル社会における共生と相互発展のために不可欠な営みであると考えています。 法学を学ぶことは、日常生活における多様な利害関係を調整し、紛争を未然に防ぎ、また解決する力を身につけるという点で非常に実践的であり、社会を支える制度の本質を深く理解できるという点でも、大きな魅力があると感じています。日本私法学会第87回(2024年度)大会における個別報告ウガンダでの異文化理解セミナーで、異文化間交渉能力を高める。技能実習生研修施設(東広島市)で研修の体験実習をする。教育学部大学院人間社会科学研究科 講師教育 私はもともと宗教社会学が専門分野で、仏教などをテーマにして一般の人たちの信仰のあり方を調べてきました。例えば、聖地巡礼や、山岳信仰などが研究対象です。さらに、キリスト教との比較をしてみると、教義だけではわからないことが見えてきます。具体的には、お守りを買ったり、お祭りに行くなど、私たちのしている宗教的な行為に、各地で共通性があることがわかります。こうした視点は、多文化・グローバル教育学プログラムでの教育・研究に役に立っています。異文化理解のために 私たちは決して一人で生きているわけではなく、生まれ育った家庭や学校、働く職場、さらには趣味や宗教など、さまざまな組織や団体に属しながら社会生活を営んでいます。そうした中で、複数の私人が共通の目的のために契約を締結したり、団体を組織したり、あるいは相続を通じて、共同の財産が形成されることがあります。その基本的な単位として、夫婦、組合、社団、共同相続人などが挙げられます。これらの団体の構成員が共同の財産を利用・管理・処分する際には、まず構成員間の合意が前提となりますが、合意に至らない場合には、「民法」をはじめとする社会の基本的なルールである法律が、その調整役を果たすことになります。Delakorda Kawashima Tinka●専門研究分野/宗教社会学、多文化共生金 旼姝(キム・ミンジュ)●専門研究分野/民法学、比較法学実践を通して異文化への誤解を理解し、自分と他者を知る。実践を通して異文化への誤解を理解し、自分と他者を知る。団団体法の比較研究から、法制度の国際的相互発展へ。

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る