広島大学で何が学べるか2025
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教育の特色キャンパスライフ学部・大学院教員入試・オープンキャンパス・アクセスなど広島大学について●●●●●●●●●●●●●●※HiSIM(Hiroshima-University STARC IGFET Model )は、広島大学が半導体理工学研究センター(STARC)と共同で開発した回路設計用トランジスタモデル12さんは、「視る」という機能を持って生まれ、「視る」ことは当たり前だと思って、成長された方が大半だと思います。「視る」機能が土台にあって、知識や経験が加わり「見る」ことが、さらに疑問をもち、その疑問を解決するために研究をすることで「観る」こととなります。また、私達医師は、目の前の患者さんの困り事を解決できるように一生懸命にトレーニングをすることで「診る」「看る」ことができるようになります。 土台となる「視る」機能が、無くなってしまうこと(=視覚障害・失明)を想像したことはありますか。実は、加齢、性別、年収、環境、遺伝などさまざまな影響によって、世界では4人に1人が視覚障害者です。先人達の弛まぬ努力による医学の発展により、そのうちの半分以上は治療することによって元通りよく視えるようになります。しかし、私が研究している緑内障や糖尿病網膜症といった眼底の病気は、進行を抑える治療法はあるものの、残念ながら、元通りにする治療法はまだありません。ただ、進行する前の早期の段階で治療を開始すれば、より進行を遅らせることができ、失明に至らないことが知られています。両生類研究センタートランスレーショナルリサーチセンター防災・減災研究センター脳・こころ・感性科学研究センターゲノム編集イノベーションセンターデジタルものづくり教育研究センターAI・データイノベーション教育研究センター学術・社会連携室オープンイノベーション本部産学連携部バイオデザイン部門/眼科特任学術研究員/特命准教授 それでは、どうやって早期の段階で治療を開始すればいいのでしょうか。咳と喉の痛みと発熱で病院に行ったら、医師から喉をみられ胸の音をきかれて、場合によっては長い綿棒を鼻から入れてグリグリするインフルエンザ(と最近ではCOVID-19もでしょうか)の検査をされると思います。治療の前には、診察と検査が必要です。 広島県は山間部や島嶼部といった自然に恵まれた環境である一方で、実は日本で二番目に無医地区が多く(一番は北海道)、患者さんが気軽に眼科に行きにくい現状があります。そのため、特に「眼科医による診察と検査」に辿り着くことが難しく、末期の状態になって初めて眼科受診される患者さんを多く経験してきました。早期の段階で眼科を受診していただくためには、どうしたらいいかと考えたのが、今の低価格なスマートフォン接続型眼底カメラ(スマホ眼底カメラ)とAIを活用した遠隔眼科診療システムの研究開発でした。眼科に辿り着くのが難しいのであれば、眼科以外の場所で気軽に検査と診断ができればいいのではないか、というとてもシンプルな発想です。IDEC国際連携機構A-ESG科学技術研究センターTown & Gown未来イノベーション研究所PSI GMP教育研究センターダイバーシティ&インクルージョン推進機構瀬戸内CN国際共同研究センターグローバルキャンパス推進機構全国共同利用施設放射光科学研究所光速に近い電子が電磁石によって進む方向を変える時に「放射光」が発生します。この光は強力で、しかもさまざまな波長を含むことから「夢の光」と呼ばれています。本研究所の研究成果は『Nature』や『Science』などのトップジャーナルに掲載されています。 低価格なスマホ眼底カメラ、AIによる診断支援プログラム、遠隔眼科診療システムの開発も、実際には私1人では不可能です。それぞれの分野の第一人者である研究者の先生方や複数の事業会社と共同で研究開発を行っています。広島大学が総合大学であること、また学部同士の垣根が低いことが後押しとなり、医学部や病院の各診療科はもちろんのこと工学部の先生方とチームを組むことで研究開発を進めることができています。 今は、チームで開発した研究成果を一刻も早く社会実装すること、そして持続可能な形で日本だけでなく世界に大きく展開させることを目指してスタートアップの設立準備も行なっています。世界中の患者さんが「明るい」生涯を送れるような将来を、入学される皆さんと一緒に作っていけることを楽しみにしています。自分たちの「眼」を使ってスマホ眼底カメラの実験を行っている。〈背景写真〉自然界から分離したCd(カドミウム)回収細菌。直径が数ナノメートルの非常に小さな半導体量子ドットを作っている。開発中のスマホ眼底カメラ。研究室で開発しただけでは量産化に対応できないため、国内メーカーと共同で、社会実装に向けてさらなる改良が必要となる。「広島大学ものづくりプラザ」に依頼し、3Dプリンターを用いて試作機を製作MIZUNO YU専門研究分野眼科、糖尿病代謝内科、深層学習100年後にも世界で光り輝く大学へ ▼▼▼世界をリードする研究者 特色ある研究施設・拠点水野 優 皆低価格な眼底カメラの開発で、治療可能な失明を防ぐ。

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