教育の特色キャンパスライフ学部・大学院教員入試・オープンキャンパス・アクセスなど広島大学について08さんは、靴紐やイヤホンなどが絡み合っている時、どんな絡まり方をしているか考えることはありますか? 私の研究テーマは、このような“紐の絡み”を数学的に扱う結び目理論です。この分野は数学の中のトポロジーと呼ばれる分野の一部です。トポロジーではモノの形を扱います。特に、モノを連続的に変形させたときに保たれる性質について研究します。私の研究では、紐を数式に対応させることで、捉えどころのない紐の形を、数学の枠組みで取り扱えるようにします。一旦数学の言葉に置き換わると、数学の多様な知識が使えます。これらの数学的知識を使うことによって、最終的に紐の形を知ることができます。ただし、現在でも全ての紐の形がわかっているわけではありませんので、考えることはまだまだたくさんあります。 このような研究をして、どんな役に立つの? と思うかもしれませんが、役に立たなくても何かを解明するということは私にとってとても面白いことです。とはいえ、実際役に立つことも知られています。紐状の物質はあらゆるところに存在します。例えばタンパク質やDNA、高分子化合物などは、紐であると考えることができます。紐に対して私たち数学者が研究してきた基礎理論が応用され、物質の性質が解明されています。私も現在、異分野の研究者と融合研究に取り組んでいます。私が融合研究に興味を持ったきっかけの一つは、大学院生の時にイギリスの大学に数カ月留学したことです。そこでは、数学と生物、数学とアートといった異分野交流を活発に行っていました。この時の経験から、これまで数学の勉強しかしてこなかった私でも、他分野の研究者と協力することで、数学以外の分野にも貢献できることを学びました。 私の所属する総合科学部では、皆さん自身が興味を持った講義を、分野を超えて受けることができます。そのため複数の分野に興味がある人、まだ自分の興味の方向性が明確に決まっていない人は、ぜひ総合科学部でさまざまな講義に触れてみてください。複数分野の専門知識を持った学生は、これまでにない斬新なアイデアを持つことができると私は※広島大学が中国・四国地方初の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)として採択された「持続可能性に寄与するキラルノット超物質拠点」。小鳥居准教授は本研究拠点に副拠点長兼主任研究者として参加している。科学技術分野で活躍する意欲のある女性の博士課程後期学生を「理工系女性リサーチフェロー」として採用し、研究専念支援経費(生活費相当額)と研究費を支給し、研究に専念できる環境を提供します。さらに博士課程後期に進学する意欲を持つ博士課程前期の学生への支援も行い、支援を受けた学生が本学の博士課程後期に進学した場合は、「理工系女性リサーチフェロー」への採用を保証します。考えています。また、さまざまな分野を勉強する友人を得られるということも、総合科学部の魅力の一つだと思います。 私が参加しているWPI※の活動も、総合科学部と同様に、学問的にマルチリンガルな学生を育成する教育を目指しています。数学や物理、化学、生物、地球惑星などのさまざまな分野を国内外の専門教員が指導し、多くの外国人学生と活動してもらうことで、新たな研究領域を切り開く人材を育てていこうとしています。意欲的な学生が挑戦してくれることを期待しています。総合科学部大学院先進理工系科学研究科 准教授宮島でのアウトリーチ活動風景。日本の伝統文化である「水引」と「結び目」のコラボレーションイベントを開催した。3Dプリンターで作製した結び目の模型。「三葉結び目」(左)は最も代表的なキラルノットだ。「トーラス結び目」(下)には多くの種類があり、自明なものを除き、すべてキラルノットである。研究成果が何かの役に立つことはあくまでも結果であり、それが目的でなくて良い。小鳥居准教授は「“なぜ?”という自分の純粋な疑問や興味から、真理を突き詰めていく研究の魅力を学生にも知ってもらいたい」と語る。高校での出張講義では、大学での学びや研究の説明のほか、VRを使ったトポロジーや結び目の体験学習も。理工系分野の女性大学院生を対象とした奨学金制度広島大学女性科学技術広島大学女性科学技術フェローシップ制度フェローシップ制度KOTORII YUKA専門研究分野トポロジー、結び目理論100年後にも世界で光り輝く大学へ ▼▼▼世界をリードする研究者小鳥居 祐香皆紐の形を考える数学
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