教 育研 究社会・産学連携大学病院校友会・基金運営情報財務情報32先端科学・医学・工学の倫理課題に取り組み、 国際的に活躍できる応用倫理学の専門家を育成します 〜大学院人間社会科学研究科に「上廣応用倫理学講座」 寄附講座を4月1日に設置〜胎児の脳組織から作られるオルガノイド研究における倫理的課題を整理しました高性能X線光電子分光装置(XPS)自然科学研究支援開発センター 機器共用・分析部門 (機器共用・分析部)中国地方ファシリティネットワーク国際的に活躍できる応用倫理学の専門家を育成へ本学では、2024年4月1日に公益財団法人上廣倫理財団のご寄附により、大学院人間社会科学研究科に寄附講座「上廣応用倫理学講座(Uehiro Division for Applied Ethics)」を設置しました。現代における科学・医学・工学の飛躍的な発展は、人類社会に大きく貢献しています。一方で、先端科学技術の研究開発や社会実装に際しては、様々な倫理的・法的・社会的課題(ethical, legal, and social issues: 以下 ELSI)の検討が必要です。また、国家の枠組を超えた研究開発が行われている今日では、ELSIへの取り組みも国際的であることが求められます。このような状況下で、世界各国の大型研究プロジェクトでは、ELSIの検討が重視されつつあり、「応用倫理学の専門家」への期待が世界的に高まっています。 本講座は、本学の研究開発に密接に関連する先端技術と、国際的に重要な先端技術を両輪としてプロジェクトに採用し、国際的な議論に積極的に参画します。具体的には、①先端技術の幅広い利用を視野に入れながら、国内外の法規制やガバナンスに対して提言できる人材の確保・育成、②講座メンバーがチームでプロジェクトを推進することによる安定的な知識生産、③国際的な共同研究を強力に推進する国際連携の3つの取り組みを実施し、より良い社会の実現に向けた研究開発と社会実装に貢献します。物的資源から研究をサポートする「自然科学研究支援開発センター(N-BARD)」本センターは、高度な自然科学の教育・研究・開発を支援するために、高度先端研究機器・設備の集約化と一元的管理・運営を行うことで教育研究支援体制を強化し、本学における自然科学各分野の一層の進展と、それらから生まれる新たな学際的研究を推進する基盤的施設として設置されました。特に、生命科学、健康科学、物質科学、環境科学に欠かせない動物実験、遺伝子実験、遺伝子組換え(改変)生物実験、各種機器分析などの適切で優れた環境と技術を提供しています。同センター 機器共用・分析部門 (機器共用・分析部) は全学共用として運用するにふさわしい機器類について、その設置場所や部局に関わらず一元管理し、本学の構成員のみならず学外からの共同利用についても管理運営しています。近年、我が国の研究力の低下が指摘されていますが、このような状況下において、研究開発投資の効果を最大化し、最先端の研究現場において研究成果を持続的に創出し、複雑化する新たな学問領域などに対応していくためには、研究設備・機器の共用化をさらに促進していくことが不可欠です。本部門の取り組みを通じて、全ての研究者がより研究に打ち込める環境の実現を目指します。中国地方ファシリティネットワーク広島大学・岡山大学・山口大学・島根大学・鳥取大学の5大学は、大学間連携による遺伝子組換え安全管理・技術支援の推進を目的として、中国地方バイオネットワーク連絡会議を構成しています。この中国地方バイオネットワークを拡張し、中国地方の5大学間で分析装置の共有化を進める取り組みとして、中国地方ファシリティネットワークを構築しています。研究機関全体の研究基盤として戦略的に導入・更新・共用する仕組みを強化(コアファシリティ化)するとともに、研究設備・機器のサポート・維持管理に必要不可欠な技術職員の組織的な育成・確保に取り組み、研究と共用の好循環の確立を目指します。倫理的・法的・社会的課題(ELSI)に係る先端研究大学院人間社会科学研究科 澤井 努 特定教授と片岡 雅知 寄附講座准教授は、胎児組織から作製された脳オルガノイドをめぐる倫理・規制上の課題をいち早く整理し、隣接分野の規制との関係性の中で、国際的に調和した規制を整備していく必要があると指摘しました。今後は、胎児脳オルガノイド研究を含め、先端的な科学・医学・工学分野の研究を支える倫理・規制の枠組を確立することを目指します。
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