31大学院統合生命科学研究科の江﨑 僚 特任助教、堀内 浩幸 教授とキユーピー株式会社の共同研究で、鶏卵の主要なアレルゲンであるオボムコイド(OVM)を除去した卵をゲノム(全遺伝情報)編集技術で作製しました。孵化させ育ったニワトリを交配して生まれた卵もOVMが含まれず、遺伝子にも異常がないなど安全性が確認されました。今後は、OVMがないことで鶏卵成分にどのような影響がでるのか、どのような鶏卵の加工形態であれば、安心して食することができるのかといった実証試験段階に入ります。また、医療用ワクチンへの応用も期待されています。本学の世界トップレベルの研究成果を社会に還元することにより、社会に大きなインパクトを与え、より良い社会の実現に貢献していきます。【研究成果】鶏卵の主要なアレルギー原因物質(アレルゲン)をゲノム編集(Platinum TALEN)により除去し、その安全性を確認主な取り組み卵アレルギーの人も卵が食べられる日の実現へ活動報告研 究食料の安全と安定供給を世界に人々が生きていく上で食料の安全と安定供給を確保することは必要不可欠です。本学は、「President 5 Initiatives for Peace Sciences−新しい平和科学(安全・安心を実現する「創る平和」)−」にも「途上国の栄養改善に資する畜産業改革による食料安全保障」を掲げています。食料安全保障の議論においては、主食となる米や穀物が中心となりますが、栄養改善のためには宗教的禁忌が少ない卵や乳製品の確保がきわめて重要な役割を果たします。そこで、本学は研究力・施設ともに国内トップ水準を誇る鶏、乳牛研究を中心に、高栄養価の食料供給に貢献していきます。本学には、国内では高温地域で最大規模な酪農の実験農場と40種類を超える日本鶏を飼育する施設があります。加えて、次世代スマート酪農施設として、国内の教育研究施設では珍しい搾乳ロボット、哺乳ロボット、個体行動管理システム、次世代牛舎環境システムを導入した家畜舎を備え、広島県の特徴でもある中山間地域の寒暖差に対応しつつ、地球温暖化の進む中でも安定的な乳生産を可能としています。また、Bill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)からの研究助成を獲得するとともに、ベトナム農業農村開発省と連携し、本学のベトナムサテライトキャンパスを開設しています。総合的な放射線災害管理の推進本学は被ばく医療の世界拠点として、放射線被ばくの線量評価法、治療薬、再生医療などの開発を積極的に進めてきました。さらに、広島大学病院やDMATなどの外部組織との連携を通じた医療体制の確立を目指した取り組みを進めています。また、被ばく体験やヒロシマの戦後復興の歴史的検証とそれらの効果的な継承のあり方に関する教育研究にも取り組んできました。「President 5 Initiatives for Peace Sciences−新しい平和科学(安全・安心を実現する「創る平和」)−」では、「平和のための総合的な放射線災害管理」を掲げています。今後、平和科学を牽引する使命をダイレクトに実現し、医科学・社会科学の両面から放射線災害への対応力を向上させていきます。また、公益財団法人放射線影響研究所(RERF)が本学霞キャンパスへ移転する予定であり、2026年度に新施設が完成します。同研究所と連携して、総合的な放射線災害管理を推進していきます。研究成果を還元し 社会にインパクトを与える
元のページ ../index.html#32